運命だけを信じてる
いつぶりだろう。
2人で並んで歩いたのは。
「暗い道ですね。人通りも少ない」
「そうですか?でも5分程なので、大丈夫です」
街灯は多い方だけれど、公園や市の施設が立ち並び、夜は静寂に包まれている。
「これからは送ります」
「そんな、本当に大丈夫ですよ」
もう何十年と歩いた道だから。
「僕が一緒に帰れない日はせめて、電話ください。家に着くまで切っちゃダメですよ」
「まるで塾帰りの娘を駅で待つお父さんのようです」
「そりゃぁ父親にとっては目に入れても痛くない娘ですからね。それに、僕にとって大切な女性に何かあってからでは遅いんです」
照れる様子もなく当たり前のように発せられた言葉が嬉しくて、そっと小牧さんの手をとった。
ギュッと、握ってみたけれど、
拒まれなかった。
「前山さんのいない世界なんて、耐えられないです」
「小牧さん…」
繋がれた手に安堵する。
「例え僕の隣りでなくても、前山さんが幸せならそれで良いと思っていたけれど。こうして触れていると、自分の感情を抑えられそうにありません」
「抑える必要は、ないです」
星崎課長に恋い焦がれた私はもういない。
美しい金髪に、ひどく整った顔立ちの、目の前のあなただけしか見えない。
小牧さんが、いいんだ。