運命だけを信じてる

頬杖をついてカクテルのチェリーを摘むと飛鳥さんはじっと私を見た。


「本当に真矢でいいの?」


「はい。彼に釣り合う程の人間でないことも分かっています。でも覚悟は決めました。小牧さんが私を必要としてくれる限り、私は彼の傍にいます」


大きくて綺麗な瞳を見つめる。
逃げちゃダメだ。

これからきっと様々な人に暴言や嫌味を吐かれる。祝福をしてくれる人の方が少ないかもしれない。それでも真っ直ぐに向き合わないと。私にできることはそれしかないんだ。


「へぇ。まぁ私は星崎課長がフリーになるなら、あなたを応援しない理由はないわ」


「え?応援してくれるんですか?」


「なに不満なわけ?」


「とんでもないです!心強いです」


反対なわけでないと知り、ただただホッとした。小牧さんを誰よりも愛している妹さんに、反対されることは辛い。



「…星崎課長のことはもういいの?」


「ずっと星崎課長のことを想ってきたのですが、今は小牧さん以外は考えられないです。移ろいやすい女だと思われるかもしれないけど…」


星崎課長は憧れだった。
私の会社生活の全てだった。
それが憧れだったか、恋心だったのか、今はもうよく分からない。



「それは真矢が必死に口説いた当然の結果よ。あなたのために大嫌いな会社に戻ることになった。それなのにすごく嬉しそうだった。婚約も破棄して、父親の言いなりにならないと金髪のまま出社して、あなたのことを追い掛けて。本当にどうしようもない兄だわ。…でも兄らしい」


誇らしそうに語る飛鳥さんの言葉に頷く。

小牧さんの言葉に最初は嫌な思いをしたし、苦手意識も持った。いつの間にか心を奪われていたけれど…。



「でもよく考えたら、私って恋のキューピッドよね」


嬉しそうな笑顔。
それは彼の妹としての、無邪気な笑顔だった。

< 250 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop