運命だけを信じてる
頬杖をついてカクテルのチェリーを摘むと飛鳥さんはじっと私を見た。
「本当に真矢でいいの?」
「はい。彼に釣り合う程の人間でないことも分かっています。でも覚悟は決めました。小牧さんが私を必要としてくれる限り、私は彼の傍にいます」
大きくて綺麗な瞳を見つめる。
逃げちゃダメだ。
これからきっと様々な人に暴言や嫌味を吐かれる。祝福をしてくれる人の方が少ないかもしれない。それでも真っ直ぐに向き合わないと。私にできることはそれしかないんだ。
「へぇ。まぁ私は星崎課長がフリーになるなら、あなたを応援しない理由はないわ」
「え?応援してくれるんですか?」
「なに不満なわけ?」
「とんでもないです!心強いです」
反対なわけでないと知り、ただただホッとした。小牧さんを誰よりも愛している妹さんに、反対されることは辛い。
「…星崎課長のことはもういいの?」
「ずっと星崎課長のことを想ってきたのですが、今は小牧さん以外は考えられないです。移ろいやすい女だと思われるかもしれないけど…」
星崎課長は憧れだった。
私の会社生活の全てだった。
それが憧れだったか、恋心だったのか、今はもうよく分からない。
「それは真矢が必死に口説いた当然の結果よ。あなたのために大嫌いな会社に戻ることになった。それなのにすごく嬉しそうだった。婚約も破棄して、父親の言いなりにならないと金髪のまま出社して、あなたのことを追い掛けて。本当にどうしようもない兄だわ。…でも兄らしい」
誇らしそうに語る飛鳥さんの言葉に頷く。
小牧さんの言葉に最初は嫌な思いをしたし、苦手意識も持った。いつの間にか心を奪われていたけれど…。
「でもよく考えたら、私って恋のキューピッドよね」
嬉しそうな笑顔。
それは彼の妹としての、無邪気な笑顔だった。