運命だけを信じてる
黒髪の小牧さんを見て思い出す。
『じゃぁ、おまえが金髪を止めてと言ったら、小牧は黒髪に戻すのか?黒髪でないと別れると言ったら、自分の事情よりも前山ちゃんを優先するのか?』ーー逢瀬先輩はそう私のことを心配してくれた。
先輩、小牧さんはちゃんと私のことを考えて、黒髪にしてくれましたよ。
そっと、小牧さんに手を差し出す。
「指輪、喜んで頂きます。私に務まるか不安ですが社長夫人になる覚悟もあります」
「良かった…」
深く息を吐き出して、小牧さんは箱から指輪をとった。そして私の指へはめてくれた。
人差し指と薬指に指輪が輝く。
上品なダイヤの輝きに目を奪われていると、小牧さんは両手で私の手を包み込んでくれた。
じんわりと彼の熱が伝わってくる。
「愛してます」
「私も小牧さんのこと、愛してます」
「やっと…あなたを手に入れられる」
「はい」
「キスしたいところだけど、お預けですね。せっかくの料理が冷めてしまっては勿体ないです」
そっと私の指に口づけてから、小牧さんは箸を持ち直した。