運命だけを信じてる
そして。
まさか、とは思ったけれど定時に上がったはずの彼が丸い柱に寄りかかって待ち構えていた。
これは昨日のデジャヴ?
「前山さん、お疲れ様です」
「まさか今日も待っていたの?」
4月に入っても気温差が激しく、今日は特に寒くてコートを着てきた。しかし昨日と同じ格好で寒い中、懲りもせずにそこにいる小牧さんを見つめる。
どうして、どうして。
もう頭の中は疑問符でいっぱいだ。
「そんなに身構えないでください。ひとつだけ言いたくて」
「話なら明日でも…」
「いえ、早い方が良いかなと思って。前山さんの予定が埋まってしまう前に」
「予定?」
スーツのジャケットだけで他の上着を着ていない彼のためにも早く会話を切り上げたいと思ったが、意味が分からず首を傾げる。
「土曜日、どこか出掛けませんか。2人で」
「何故?」
「デートのお誘いです」
しばらく聞いていなかったワードがすっと耳へと届いた。