運命だけを信じてる
さらに風が強くなり、せっかく直してもらった髪も台無しになる。
「寒い中、女性を引き止めてはダメですね。もう遅い時間なので気を付けて帰ってください」
「……」
突然に切り上げられた会話に頭がついていかない。
あの居酒屋でも唐突に帰って行ってしまったけれど、今日も素早く背を向けられた。
「おやすみなさい」
「お、おやすみなさい」
辛うじて復唱すると、彼は駆け足で立ち去った。
昔から男心は少しも理解できなかったけれど。
小牧 真矢の心情を例え1ミリでも理解できるとは思えなかった。