運命だけを信じてる

「その件は、俺も悪いので。お互い様ってことで、もう忘れましょう」


「でも…」


小牧さんはそう言ってくれるけれど、OJTとして新入社員に言ってはいけない発言をしたことは取り消せない。


「さ、みんな待ってるし行きましょう」


「小牧さん!」


取り消せないから、せめてきちんと謝りたい。



「本当にごめんなさい」


「真剣な顔も可愛いですね」


笑って受け流してくれる。
それが彼の優しさなのだろう。

私はそれに甘えようとしている。
先輩なのに?



「…お詫びと言ったら、あれなんだけど、その」


「はい?」


「どこかに出掛けませんか?明日でも来週でも…小牧さんの都合の良い時に、私にご飯を奢らせてください」

周囲の雑踏に負けずに少し大きめの声で告げた。

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