運命だけを信じてる
本当は喜ぶべきシチュエーションなのに、そうできない理由は分かっている。
星崎課長に対する想いと、これまで誰かに愛されたことのない自分への自信のなさに、この状況をありえないと思ってしまっているのだ。
私なんかを好きで居てくれるはずが無いって。
それなのに。
「…僕も分かっています。あなたが僕なんかのこと、好きになるはずがないって」
あなたも同じようなことを言った。
「片思いって寂しいですね」
「……」
「でもこれが僕の最後の恋だとしたら、もう少し粘りたいと思います。短い人生の中でそう何度も本気で好きだと思える人に出逢えることなんてないから」
知らない?
違う、私が小牧さんのことを知ろうとしていないだけだ。彼のことを知って、もしも好きになってしまったらーー例え一瞬でも想いが通じ合ってしまったら。
小牧さんに別れを告げられた時、私はきっともう立ち直れなくなってしまう。
29歳という崖っぷちで、少しの甘い蜜のために冒険はしたくない。そんな保守的な自分が心底嫌になる。