運命だけを信じてる
彼が過ごしたかった休日はこんなものではなかったはずだ。
一緒にご飯を食べはしたけれど、楽しい食事とは言い難い。
私が可愛い女を演じられないせいで、台無しにしてしまった。
"そんなんだからあなたは結婚できないのよ"と、誰かの声が聞こえた気がした。
赤信号。
立ち止まった小牧さんの横に並び、思い切って聞いてみる。
「小牧さん、前職はなにをされていたのですか?」
「うん?いきなりですね?」
「差し支えない範囲で良いので聞きたいと思いまして。私、小牧さんのことをなにも知らないので」
「……」
「あなたの気持ちをまだ信じられたわけではないです。例え今は好きでいてくれても明日には他の女性を想っているかもしれません。でも私のことを少しでも好きと言ってくれた小牧さんのこと、もっと知りたいです」
信号が切り替わり、一斉に動き始める中、私たちは顔を見合わせたままでいた。