Toxic(※閲覧注意)
赤ワインで、改めて乾杯を交わす。

ワインが出てきたタイミングで、メインディッシュの牛肉のロッシーニもテーブルに並んだ。

「うわぁ、嬉しい!私、フォアグラ大好きなの」

「へえ。じゃあ、あん肝とか鳥のレバ刺しも?」

「ええ、大好物」

私が頷くと、柴宮は

「なら今度は、ボクの行きつけの店に誘おうかな。そこ、鳥の白レバーが絶品で」

さらっとそんなことを言う。

これは社交辞令? それとも、また飲みに誘いますよ、という意思表示?

「へえ、じゃあぜひ」

私は笑顔で答えて、ロッシーニにナイフを入れた。

驚くほど柔らかい牛ヒレ肉を、フォアグラと共に口に運ぶ。

「……美味しいっ!」

表面だけカリッと焼いたフォアグラの焼き加減が絶妙だ。

ほどよい濃厚さのペリグーソースが、ヒレ肉の味わいをより引き立てる。

「今まで食べた中でいちばん美味しいかも」

「はは、夏目さん大げさ。でも、喜んでもらえてよかった」

柴宮が色気のある笑みを浮かべた。

やけにセクシーなのは、薄い唇のせいか、それとも、右目の下の泣きぼくろのせいか。

「ええ、もう大喜びしてる。仕事とはいえ、こんな素敵なお店のディナーに招いてくださって、本当にありがとう」

私がお礼を言うと、柴宮はなぜか急に真顔になって、私のことをじっと見つめた。

「夏目さん」
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