Toxic(※閲覧注意)
*****
私の手を引いて駅構内を進んでいた大和が、不意に立ち止まり、こちらを振り返った。
「響子んち、何番線?」
目が合うだけで、心臓が引きちぎれそうなくらい痛い。
「…………5」
絞り出すように答えれば、大和は私の手を握ったまま、5番線のエスカレーターへと歩き出す。
そもそも彼は、JRではなく地下鉄だと言っていたのに……ホームで見送るつもりなのか、それともこのまま、私の家まで来るつもりなのか。
彼の真意がわからないまま、けれど、私は黙って彼の背中についていく。
私はこれから、どうなってしまうんだろう。
仕事以外で二度と会わない、関わらないと誓ったはずなのに、私はこの手を振り払うことすらできない。
──ついさっき。
突然目の前に現れた大和を見て、マサトくんは「す、すいません!」と、慌てて私の手を離した。
どうやら彼は、大和のことを元夫の片桐と勘違いしたらしい。
マサトくんは、片桐の顔も、私が離婚したことも知らないのだ。
大和はそんなマサトくんに柔らかい笑みを向けると、
「響子、帰ろ」
と私の手を取って、改札へと向かって歩き出したのだった。
大和、なんで?
なんでここにいるの?
なんで……ずっと連絡して来なかったの?
なのになんで、「俺の」なんて言うの?
奥さんいるくせに、なんで……。
聞きたいことはたくさんあるのに、何も言葉にならない。
私の手を引いて駅構内を進んでいた大和が、不意に立ち止まり、こちらを振り返った。
「響子んち、何番線?」
目が合うだけで、心臓が引きちぎれそうなくらい痛い。
「…………5」
絞り出すように答えれば、大和は私の手を握ったまま、5番線のエスカレーターへと歩き出す。
そもそも彼は、JRではなく地下鉄だと言っていたのに……ホームで見送るつもりなのか、それともこのまま、私の家まで来るつもりなのか。
彼の真意がわからないまま、けれど、私は黙って彼の背中についていく。
私はこれから、どうなってしまうんだろう。
仕事以外で二度と会わない、関わらないと誓ったはずなのに、私はこの手を振り払うことすらできない。
──ついさっき。
突然目の前に現れた大和を見て、マサトくんは「す、すいません!」と、慌てて私の手を離した。
どうやら彼は、大和のことを元夫の片桐と勘違いしたらしい。
マサトくんは、片桐の顔も、私が離婚したことも知らないのだ。
大和はそんなマサトくんに柔らかい笑みを向けると、
「響子、帰ろ」
と私の手を取って、改札へと向かって歩き出したのだった。
大和、なんで?
なんでここにいるの?
なんで……ずっと連絡して来なかったの?
なのになんで、「俺の」なんて言うの?
奥さんいるくせに、なんで……。
聞きたいことはたくさんあるのに、何も言葉にならない。