砂時計が止まる日
「類です、どうも。」
学ランの前ボタンを開けっぱなしの類君が首を前に出し、挨拶をする。
「類、挨拶はちゃんとしないとお姉ちゃんにもお母さんにも怒られるよ!
新垣心菜です。
お姉ちゃんがお世話になってます。」
小柄な女の子は頭を丁寧に下げた。
新垣によく似ている。
表すなら新垣から大人っぽい影を引いてあどけなさを足した感じ...だろうか。
「白川蓮です。
文化祭の時、ちゃんとお話出来なくてごめんね。」
「あ、覚えてらっしゃったんですね。」
ランドセルが置いてある辺り、きっと彼女は小学生なのだろう。
でも丁寧な敬語を使う。
そういう所も新垣に似ているのかもしれない。
「姉ちゃんの部屋は上です。」
「行こ、白川君。二人ともありがとね。」
僕は荒木について階段を上った。
2階には廊下と3つの扉があった。
その1つ1つにネームプレートがかけられていた。
「由羅、入るよ。」
「おじゃまします。」
入って見えたのは教科書が積み上げられた勉強机、雑誌でいっぱいになった本棚。
収納に入れられ並んだ化粧品。
数枚貼られたポスター、コルクボードに付けられた写真、制服が表面かけられていたクローゼット、かすかに香るアロマの匂い。
新垣らしい、そんな部屋だ。