砂時計が止まる日
あの子は私に『何してるの?』って聞いた。
それは私の胸に多少ながら傷を作った。
「その次の日も男の子は来てね。
その日はお花を持ってきてくれたの。
その次の日もそのまた次の日も。
何かしらの手土産を持って毎日私の病室に来て、色んな話をしてくれた。」
持ってきてくれたのは折り紙だったり写真だったり、お菓子に付いているおもちゃだったり。
最初は不思議な子だなってぐらいにしか思ってなかった。
でも、時間が経つにつれ、私の部屋を訪れる回数が増えるにつれて、その時間は私にとって凄く幸せなものになった。
「一番嬉しかったのは病棟の外に連れて行ってくれたことかな。
私、入院してからずっと病室と検査室と診察室を行き来することしかしてなかったから、あの子が先生に許可を取って私を外に連れて行ってくれたの。
外と言っても病院の敷地内だけど、もういつぶりかわからないぐらい久しぶりの外だったの。
外の空気はこんなに美味しいんだ、窓を挟んでない空はこんなに綺麗なんだ。
10分ぐらいだったけど、本当に幸せだったんだ。」
あの子は本当に私にたくさんのことを教えてくれた。
たくさんの幸せをくれた。
「でも、そんなに楽しい時間って続かないんだよね。
璃々花先生の転院が決まって私もそれについて違う病院に移ることになったの。
それを教えたらその子、泣いてくれたの。
その時、私も初めて“別れ”のツラさを知って涙が出てきたの。
2人で気が済むまで泣いて、その子は私に砂時計をくれたの。」
そう、それがこの砂時計。