耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

美寧が見惚れてしまうのも致し方ない。
怜の容姿は一般人のそれとは比べ物にならないほど、美しく整っている。
切れ長の二重の瞳は知的で涼しげ、スッと通った鼻筋、その下には厚すぎない唇。そのどれもが計算されたかのように完全に配置され、今を時めく人気俳優にも勝るとも劣らぬイケメンなのだ。
更に百八十センチの高身長を備えているとあれば、世の女性たちの心を掴まないわけはない。
彼の周りの人々は老若男女皆、こう思うであろう。“眉目秀麗”とは彼の為にあることばなのではないかと。

美寧とて立派な成人女性だ。そんな怜にとろけるような笑みを見せられて、心を奪われないはずはない。

ポーッとなっている美寧を見て、くすりと小さな笑いを漏らした怜は、自分の手元にあるグラスを持ち上げ向かいに座る美寧の方へと軽く突き出した。

反射的に美寧もグラスを掲げ彼のものと触れ合わせる。ガラスとガラスがカチンと涼しげな音を立てた。

「乾杯。ミネが来てちょうど一か月に。」

「あっ!」

美寧はここで暮らし始めて今日でちょうど一か月、と言うことに今気が付いた。

「記念にミネの好きなものを描いてあげますよ。」

そう言った彼が左手で持ち上げたのは、トマトケチャップ。
怜の作るオムライスは、特製デミグラスソースやホワイトソースとチーズのグラタン風も美味しいのだけど、美寧はシンプルにケチャップで食べるのが好きだ。その方が玉子の甘みとふわふわの触感がより楽しめるというのが美寧の持論なのだ。

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