耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー



(ここ、どこだっけ……そっか、私………)

回るシーリングファンを見つめながら、自分がいる場所を思い出す。
いつのまにか眠ってしまっていたらしい。

眠る前よりも随分と体が楽だ。それもこれもこの店のマスターのおかげ。
冷たいスポーツドリンクのお替りと一緒に渡された冷却シートは、美寧の額に張られている。頭の下にはタオルの巻かれた保冷剤。大分柔らかくなっているがまだ冷たいどれもこの喫茶店のマスターが用意してくれたものだった。

ワイルドな風貌の彼はこの喫茶店の店主で、今日は定休日で店は開けていないが、事務仕事や仕込み作業の為に来たと言っていた。
美寧を見付けた時は、たまたま買い出しに行く途中だったらしい。

そんなマスターは、美寧がソファーで休んでいる間、店の奥に入ってしばらく出て来なかった。
静かな店内でじっとしているうちにうとうとと眠ってしまったので、もしかしたら美寧に気を遣って一人にしておいてくれたのかもしれない。

「お。起きたのか?」

カウンターの中から声を掛けたマスターは、美寧のところへとやってきた。

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