耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
それから少しの間雑談をした。
今更ながら軽く自己紹介をし合って、美寧は今自分がこの近所の家にお世話になっているのだ、と話した。
それからこの喫茶店は元々マスターのお祖父さんのもので、マスターはそれを継いだのだという。
「この通り小さな店だから他に従業員はいないんだ。俺一人でなんとかなっているけど、たまに猫の手でも借りたいほど忙しい波が時々くるんだよな……幸いなことに常連さんに恵まれて、今のところ苦情を頂いたことはないんだが。数年前に社会人になった娘が手伝ってくれていた時はずいぶん楽だったんだがなぁ……」
独り言のようにぼやいたマスターの言葉に、美寧の頭にあることが閃いた。
「あのっ!私をここで働かせてください!」
「えっ?」
「これまで仕事をしたことはないので、ご迷惑をおかけしてしまうかもしれません。でも、なんとか“猫の手”になれるように一生懸命頑張ります!ですから、どうかお願いします!!」
突然勢いよくそう言い出した美寧に、マスターは戸惑っているようだ。美寧は畳み掛けるように言葉を続けた。
「お給料はいくらでも構いません!きっとご迷惑をおかけるすと思うので、むしろ少なくて良いです。」