耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

美寧は話し出す前に、いったん箸を置いた。こういうところが彼女の育ちの良さを感じさせる所以(ゆえん)である。

「あのね、奥さんが明日お嬢さんのところに行くらしいの。だから私も何か食べれるものをちょっとでも差し上げたくて」

美寧の“お願い”に怜は首を(かし)げる。

「ミネ?」

「う~ん……やっぱり急には無理だよね……」

明らかに肩を下げた美寧に、怜は問いかける。

「確認したいのですが……」

「うん?」

「妊娠は、どなたのことですか?」

「え?マスターと奥さんのお嬢さんだよ?私、言わなかった?」

「……はい」

怜はゆっくりと息を吐きだした。
決して息を呑んでいたわけではないはずなのに、やはりどこかで緊張していたのだろう。

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