耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
美寧とは恋人同士ではあるが、まだそういう関係には進んでいない。
なので、彼女の口から「妊娠二か月」と出た時、もちろん自分には心当たりがなかった。
けれど、自分と出会う前の彼女に何があったのかは知らない。
これまでそれを問いただしたこともないし、これからもそのつもりはない。もちろん、本人が聞いてほしいと思っていることは、いくらでも聞こうとは思っているが。

大事なのは、自分のそばに美寧がいることだけ。願わくはずっと笑顔のままで――。

だからもし彼女が他の誰かの子を身籠っていたとしても、自分が支えて行けるならそうするし、その相手のところに帰るならそれを受け入れなければならない。

一瞬にしてそこまでの覚悟を決めていた怜の心情などまったくもって知らない美寧は、怜のついた息の意味を勘違いした。

「ご、ごめんね?バイトの帰り際にやってきた奥さんからお嬢さんのおめでたの話を聞いて嬉しくなっちゃって……帰ったらすぐにれいちゃんに言わなきゃ、って……」

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