耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
確かに今日は帰ってくるなり急いで着替えと手洗いを済ませた美寧は、怜が準備していた夕飯を配膳する手伝いをする間、そわそわと何か言いたげな様子ではあった。

「いただきます」をした直後に切り出したのも、彼女的には十分待った上での『妊娠報告』だったのだろう。

「ごめんね、ちゃんと説明出来なくて……いきなり言われてもこま」

「いいですよ」
「困るよね?…て、え?」

「大丈夫ですよ。妊娠中のマスターのお嬢さんへの差し入れですよね?」

「いいの?」

「はい。俺で出来ることであれば。と、さっきも言いましたよね?」

「やったぁ!ありがとう、れいちゃん!だぃ……」

諸手を上げて喜びだしそうだった美寧が、突然口をむぎゅっとつぐんだ。

「ミネ?」

「う、ううん?そうだ、そうと決まったら早く食べなきゃね!」

何かを誤魔化すようなそぶりを見せた美寧は、箸を持ち直しせっせと目の前の食事を口に運び始めた。


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