耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
恥ずかしさのあまり顔を伏せる。頭から湯気が出ているんじゃないだろうか。
真っ赤になった顔を両手で覆い、怜の胸もとにコツンと額を付けた。彼は黙ったままで何も言わない。

(うぅっ、やっぱり言わない方が良かったかも……)

怜と藤波家のお墓参りに行った日。自分の気持ちを自覚した美寧だったが、まだそれを怜に告げていない。
いや、正確には“告げられていない”。

あれから十日ほど。その間に美寧は、何度か怜に自分の気持ちを告白しようとした。
けれどなかなかタイミングが掴めず、いざ告白しようとすると邪魔が入ったり、なぜか今日みたいに怜に口を塞がれたりして、結局出来ないまま今に至ってしまった。

前に同じように「大好き」と言った時には、『俺の心中を忖度してください』と困ったような表情をされた。だから、今度こそちゃんと正しく「好き」だと言おうと思っていたのに――
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