耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
(また困らせちゃったかな……それとも、同じこと言わせないで、って呆れてる?)
何の反応もなく無言のままの怜のことが気になり始め、美寧は赤い顔を少しだけ持ち上げ、ちらりと怜の顔を盗み見た。
怜は横を向いていた。まるで美寧のことを見ていられないとばかりに。
目が合わないことをいいことに、思わずじぃっと整った横顔を見詰める。すると、怜の様子がいつもと違うことに気付いた。
頬が心なしか薄く染まっていて、耳の端ははっきりと赤い。
(もしかして…………照れてる、とか?)
普段から彼はあまり表情を大きく変えることがない。だから顔を赤くすることなんて考えたこともなかった。
あまりの珍しさに、美寧は食い入るようにその横顔に見入っていると、怜が横を向いたままチラリと視線だけ寄越した。
「……あまりじろじろ見ないでください」
「ご……ごめんね?」
よく分からなくて小首を傾げながら、とりあえず謝ってみる。すると、そんな美寧を見て、怜が長く深い息を吐きだした。
「……作りましょうか」
「うん……」
腰に回された腕が解かれそっと離された距離に、なぜだか少し寂しくなりながら美寧は小さく頷いた。