耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
***


ちゃぽん。
湯船に足を入れる。(ぬる)めの設定されたお湯の中に静かに体を浸し、肩まで浸かったところで美寧はゆっくりと長い息を吐きだした。

「またちゃんと言えなかったな……」

一人の男性として怜のことを好きだと意識するようになってから、簡単に「好き」と口にすることが出来なくなった。
うっかりすると今日のように軽々しく「好き」と口にしそうになるけれど、それは何だか自分が考えている告白とは違う。

(おじいさまに言ってた時の調子で、勝手に口から出ちゃうんだもの……)

祖父は生前、一人孫娘である自分のことをとても可愛がってくれていた。小さなころから祖父と暮らしていた美寧は、孫に甘い祖父にくっついては「おじいさま大好き」と口にしていたのだ。
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