耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

「いらっしゃい――」

開いた引き戸から顔を出した怜の声を聞いた瞬間、美寧の体から無意識に力が抜ける。ホッと息をついた。

「――ミネ?」

門のところに立っている美寧に気付いた怜に声を掛けられた。

「おかえりなさい。ナギと一緒になったのですね」

怜はすぐ目の前の男性と、門柱の隣に立つ美寧を見比べながら訊ねる。そう聞いた彼は珍しく眼鏡をしているから、自室で仕事をしていたのかもしれない。

美寧と怜の間に立つ形となったその男性は、怜を見た後もう一度美寧の方を振り返り、訝しげに怜に訊ねた。

「拾ってきたのは猫じゃなかったのか?――フジ」


< 262 / 353 >

この作品をシェア

pagetop