耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
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二度目のたこ焼きを作り終えて、たこ焼き器の半分ずつを使って美寧用のミニケーキとアヒージョを作る。焼き上がりを待つ間に、怜と美寧はキッチンに行った。怜はワインを取りに、美寧は自分用に紅茶を入れる為だ。高柳はたこ焼き器の番をしている。

「ナギさんもれいちゃんと同じでお料理が得意なんだね。たこ焼き返しもすごく上手だった!」

やかんにお湯を沸かしている間に、紅茶の葉っぱをティポットに入れながらついさっきの話をする。
二度目のたこ焼きを竹串で返す時、自分が一つと格闘している間に高柳があっという間に十個をひっくり返していくのを見て驚いたのだ。


『ナギさん……すごい』

目を丸くした美寧に、高柳は坦々と『一時期住んでいた祖父母の家が関西だったからな』と言う。

『関西の(かた)はみんなたこ焼きを作れるんですか?』

『みんなかどうかは分からないが、祖父はたこ焼き作りが得意で、俺もずいぶんと練習させられたんだ』

『おじいさま直伝なんですね』

『まあ、そうだな……おじいさまってほどのもんでもないけどな』

にこにこしながら言う美寧に、高柳は少しだけ瞳を細め薄く微笑みながら頷いた。


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