耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
「確かにナギは料理上手ですが……ナギに興味がありますか?」
「ん?」
後ろから問われた言葉に、戸棚に伸ばしかけた手を止め頭だけ振り返る。
「ミネは相手が誰でもすぐに打ち解けますね」
「そう、かな?」
「ナギが初対面のしかも女性に、あんな風に笑いかけるのを久しぶりに見ました。今の会社に転職してしばらくして会った時には、何故かあまり感情を表に出さなくなっていて……。中身が変わったわけではないので、俺も敢えてそこは追及してはいないのですが」
「そうだったんだ……」
「ミネと話すナギが意外と楽しそうで、良かったと思っています。……ですが」
言い淀むようにいったん口を閉じた怜。その続きが気になった美寧が、紅茶の缶を手に持ったまま体ごと振り向くのと、怜が再度口を開くのは同時だった。
「ですが、正直、面白くありません」
「え?」
何が、とか、どうして、とか沸いた疑問符を口に出そうとした時には、すでに怜の体がすぐ目の前にあった。
美寧の小さな体が、怜の体と彼の背丈とほぼ同じ高さの戸棚の間に挟まれてしまう。