耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
結局兄はそれ以降、夏休みに榮達のところに来ることはなくなった。
中高一貫とはいえ、勉強や習い事などに忙しくなる年ごろだ。
美寧は淋しく思いながらも、それは仕方のないことだと幼いながらに分かっていた。

(お兄さまには、将来お父さまをお手伝いする大事な仕事があるんだもの………)

自分とは違う。体が弱くて手がかかるだけの自分とは。

小さくて役に立たない美寧に出来ることはない。
だから父は美寧に会いに祖父の家(ここ)まで来てくれないのかもしれない。

父は仕事で忙しいのだから。ここは家から遠いから。
だから仕方ない。

そう自分に言い聞かせて、時には祖父の優しさに慰められながら、美寧の少女時代は過ぎていく。

それでもいつか。大きくなったら父の助けになることがあるだろうか。自分に出来ることがあったなら、その時は父の役に立ちたい。

その日がいつ来てもいいように、今は自分が出来ることを頑張ろうと思っていた。



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