耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
状況が変わったのは、その年の正月明けだった。
通例となっている年始のご挨拶の会。
祖父の喪中であるから大々的には行われなかったが、親族や会社関係の方々と挨拶を交わす程度の会だった。
その会が終わったあと、美寧は父の書斎に呼び出された。
『お父さま、お話があるとお伺いしましたが……』
書斎の扉をノックして、中からの返事を聞いてから開けた扉の隙間から滑り込ませるように中に入り、扉を閉める。そして、部屋の正面にある大きなデスクに座る父に声をかけた。
父は美寧の方をチラリと見たが、すぐに視線が外される。美寧は父が口を開くのを黙ってじっと待った。
『………許嫁との顔合わせが決まった』
『え、』
『杵島の義父の、……おじいさまの一周忌が済んだら、相手との顔合わせになる』
『い、許嫁って……そんないきなり、』
『以前から決まっていたことだ』
言葉を失った美寧に、父は『話はそれだけだ』と言い、美寧に書斎から下がるように言った。