耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
返事をした美寧の大きな笑顔に、涼香が顔を(ほころ)ばせる。
その綺麗な顔に美寧が見とれていると、部屋の襖が外からノックされた。「はい」と美寧が返事をすると、スッと静かに襖が開く。顔を出したのはこの家の(あるじ)

「診察は終わりましたか?」

「ああっ!ごめんね、フジ君。声をかけるの忘れてたわ」

「……そんなことだろうと思った」

悪気無く謝る涼香にそう返した怜。

「軽い夏風邪かしらね。少し暑さが和らぎ始めたこの時期の方が、意外と夏の疲れが出やすいのよ。手持ちの薬を出しておくから、様子を見てちょうだい。二三日はちゃんと養生するようにね」

涼香は怜に美寧の具合を説明した後、最後の言葉は美寧の方を見て言った。

「以上。診察は終わりよ」と涼香が言った途端、彼女の膝の上の健がぐずぐずとむずがりはじめた。

「ままぁ~~」

「どうしたの?たける」

「るぅくん おなかしゅいた~」

息子の言葉に涼香が目を見張る。

「だって、たける…さっきご飯食べて来たばっかりでしょ?」

涼香が腕時計に目を遣ると、時刻は十時半。お昼ごはんにはまだもう少し時間がある。

「おなかしゅいたぁ」

涼香は日曜の今日、藤波家に寄った後に買い物に行く予定にしていた。お昼ご飯もショッピングモールで取るつもりにしていた。
朝食を取ったのが遅めだったので、健のお腹も十分持つだろうと、子ども用の軽食は持って来ていない。
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