耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
(雨も降っているし、家にあるもので済ませてしまおうか…)
颯爽と歩きながら怜が考えているのは、自宅の冷蔵庫の中身。
(ご飯は冷凍がまだあったな…使いかけのネギと、あと……)
涼しげな瞳を真っ直ぐ道の先に向けながら、頭の中で夕飯の献立を組み立てる。
こうやって今ある食材で献立やレシピを組み立てるのは、普段は研究で緻密で難しい事ばかりを考えている頭を、逆回転させる作業のようで怜はとても好きなのだ。料理が趣味。息抜きと言っても過言ではない。
(ああそうだ。途中でベーカリー小川に寄って、明日の朝食用のパンだけは買っておかないと……)
雨の中の買い物が少し面倒に思えた怜は、視線を斜めに下げ、ふぅっと小さくため息をつく。そんな憂い顔の彼からは、無駄な色香が振り撒かれ、たまたますれ違った子連れの女性が、足を止めぽうっとなってしまうほどだった。