耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー
美寧は締められた襖をしばらく見つめていたが、辛い頭痛に目を閉じた。
(どうしよう……でももう間に合わない……)
本来なら今ごろ自分がいるはずだった場所を思い出すと、みぞおちの辺りがキュッと縮まるような痛みを感じる。その痛みはこの数か月間彼女がずっと感じていたもので、特にこの一週間はとくに酷く、食事を取るもの苦痛なくらいだったのだ。
(今頃、私のこと探してるのかな……)
誰にも何も告げずに居なくなった美寧を、今頃必死になって探しているのかもしれない。
(きっとお父さまは怒ってるよね…もしかしたら、もう私のことなんて……)
美寧の瞳がじわりと熱くなる。熱のせいで朦朧とした頭では良い方向に考えられるはずもないのに、今の美寧にはそれが分からない。
潤んだ瞳から涙がスッとこぼれ落ちた。