耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

あの日公園で倒れていた美寧の少ない所持品の中にあった、唯一の写真。それがその写真なのだ。

「おじいさまは私の淹れた紅茶が好きで、いつも私が淹れた紅茶をおいしいって飲んでくれたの……」

瞼を伏せた美寧の睫毛がかすかに震える。その表情は切なげで、彼女の纏う空気が一変して儚げに見える。
怜は思わず腕を伸ばした。

「ぅにゃっ!」

突然腰を抱き寄せられ、美寧は思わず声を上げる。変な声が出てしまった。
怜の左腕が美寧の腰に巻きついているので、美寧は必然的に怜の左半身に密着する形になっている。
一瞬何が起きているのか分からなかった美寧だが、状況を把握した瞬間、ぶわっと火が点いたように熱くなった。

「れ、れれれ、れい、ちゃんっ!」

美寧の慌て振りに、怜は思わずくすりと笑う。

(かっ、からかわれた!)

自分は真っ赤になって狼狽えているのに、余裕綽々の怜が恨めしくて、じっとりと見上げると、それを見た怜がまたしても「くくっ」と笑うので、なんだか腹が立ってきた。
頬を膨らませて睨み上げるけど効果はないようだ。

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