旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
店を出て数十メートル進んだ先で、肝心の棚割り表の存在を思い出した。

再び戻ろうとしたけれど、思い止まる。

あんな話を聞いた後で、店長たちの前でいつも通り接する自信がないもの。
会社に寄らず帰るつもりだったけど仕方ない。一度戻ってファックスで送ろう。

そのまま駅に向かい、電車に乗って本社へと向かった。

会社に戻ると商品部には誰も残っておらず、棚割り表を送信し、残っていた雑務を片づけて帰路に着いたのは二十一時半過ぎ。

そういえば私、俊也さんに連絡するのをすっかり忘れていた。

マンションのエントランスを抜けたところでスマホを手に取る。だけど彼からの連絡は入っていなかった。

今日は早く帰れそうって言っていたし、もう家にいるよね。

足早にエレベーターに乗り込み、降りて一度玄関先で足を止めた。

今の私の顔、大丈夫かな? さっきのこと引きずっていないよね。

仕事とプライベートをしっかり分別している俊也さんがいる家に、仕事は持ち込みたくない。
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