旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
おまけに私が洗い物をする様子を、ジッと見つめてくるから非常にやりづらい。

「あの、俊也さん?」

耐え切れなくて名前を呼ぶと、彼は「気にしないで続けて」と言う。

「間近で見て学んだら、俺にもいつかできるかもしれないだろ? ……これからずっとふたりで生活していくんだ。芽衣にばかり、負担をかけたくない」

「俊也さん……」

落ち込むことがあったからかな? だから今日の私は涙脆いのだろうか。
また泣きそうになり、グッとこらえた。

「じゃあ早く帰った日や休日は、ふたりで作ってみますか?」

「え、教えてくれるのか?」

目を見開く彼に笑顔で頷いた。

「最初は簡単なものからにしましょう。まずは洗い物からしましょうか?」

フライパン以外の汚れ物を洗ってくれると、すごく助かる。

その思いで言うと、彼はすぐさま腕を捲った。

「わかった、洗い物は俺に任せてくれ」

「じゃあお願いします」

彼に任せて玉ねぎやニンジンを切り、調理に取りかかった。その横で彼は慣れない手つきで皿を洗っている。
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