旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

「俺さ、正直一生独身でいるつもりだったんだ。でも実際に結婚して芽衣と暮らす毎日が楽しくて。……ありがとうな、俺と結婚してくれて」

改めて言う彼に胸の奥がギュッと締めつけられた。

「ど、どうしたんですか？　急に」

慌てて料理を再開しながら聞くと、彼は「ふと、思ったことを言っただけ」と言う。

「それに思ったことはすぐ相手に伝えないと。……あとで言おうとしたって、言えないこともあるだろ？　忘れることもあるし、言えない状況になることだってある」

「――え？」

意味深なことを言う俊也さんを再び見ると、悲しげに瞳を揺らした。

「今ある幸せが、永遠に続くとは限らないだろ？　俺と芽衣だって、この先どうなるかわからない」

どうして急にそんなことを言うの？　だって俊也さん、言ったよね？　結婚したら絶対浮気はしないって。

彼に言われた言葉を思い出していると、俊也さんは急にパッと表情を変えた。

「なんて、な。冗談だよ。俺は芽衣を手離すつもりはないし、死ぬまで添い遂げるつもりだから」

いつもの調子に戻った俊也さんは、残りの食器を洗っていく。