旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
冗談? 本当に?

さっきの俊也さんの表情、とても冗談を言っているようには見えなかった。

もしかして私がはっきりしないせいで、彼を悩ませている? でもそれだけではないような……。

感じた違和感はモヤモヤと化して心に残り、その後も消えることはなく、ふとした瞬間に思い出しては頭を悩ませていた。



「これでよし、と!」

データを保存し、両手を上げてグンと身体を伸ばした。そのまま窓に目を向ければ、朝からシトシトと降り続いていた雨が、夕方になって本降りとなってきた。

天気予報で夜には嵐になると言っていたよね。今日は早く帰った方がいいかも。

幸い今日は残業してやる仕事は残っていない。各店舗から上がってきた発注書を業者にかければいい。

俊也さんはつい先ほどから、定例の重役会議に出ている。今日の会議は長引きそうだと言っていたし、早く帰って美味しいものを作って待っていよう。

なにを作ろうかと考えながら、ファックスで送られてきた発注書を確認していると、会社から支給された仕事用の電話が鳴った。
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