旦那様の独占欲に火をつけてしまいました～私、契約妻だったはずですが！～

「そうだぞ、父さん！　同じ男として、妻がありながら他の女性に手を出すなんて考えられない！　……まぁ、そのおかげで芽衣を家族に迎え入れることができたからいいが」

お兄ちゃんの話に、お母さんはクスリと笑った。

「そうね。最初話を聞いた時は怒りしか沸き起こらなかったけれど、今となってはこうして芽衣さんという娘を持つことができて幸せだわ」

「お母さん……」

いつも家族で団らんしていても、私だけが家族の輪に入ることができなかった。同じ屋根の下に暮らしていても疎外感を抱いていて、早く出ていきたくてたまらない窮屈な場所だったのに……。

「大切なのは芽衣さんの気持ちよ。でも無理して俊也君の元へ戻る必要はないわ。ここはあなたの家なの、ずっといてもいいのよ？」

お母さんの温かい言葉にボロボロと涙が溢れた。

「そうだぞ、芽衣」

「あぁ、落ち着くまでいくらでもいるといい」

お兄ちゃんとお父さんにも次々と言われ、ますます涙が止まらなくなる。

「……ありが、とう」