旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「そうかもしれないね。……でも式はちゃんと挙げるから。その時は頼んだからね? 友人代表スピーチ」

「もちろん任せておいて! あ、二次会にも三次会にも、しっかり出席させてもらうからね」

「もう、気が早いよ玲子」

結婚式は一年後だというのに、二次会の話まで持ち出す彼女に笑いが止まらない。

だけどその一方で、罪悪感が募っていく。

私と門脇部長は来週、籍を入れる。だけど挙式、披露宴は来年に予定している。

私は育児休暇に入る織田先輩の後継として、本社の商品部に異動してきた。彼女に代わって業務を遂行するべく、今日まで学んできたんだ。

実際にひとりでの業務が始まったら、結婚式どころではない。仕事をしながら準備なんて到底できる自信がないもの。織田先輩にも、ぜひ出席してほしいから。

それと来年に予定したのには、もうひとつ理由がある。

門脇部長は私との結婚を機に、後継者の道へ進むと決めたようだ。原則、社員同士が結婚した際、同じ部署に勤めていた場合はどちらかが異動することになっている。
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