旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
だけどあと少ししたら育児休暇で織田先輩が抜ける。少なからず部署内は慌ただしくなる。私はまだ織田先輩には、追いつけていないから。

そんな時に、幅広い知識と経験を持っている門脇部長まで抜けてしまったら、商品部は回らなくなる。

だから彼は織田先輩が戻ってくるまで部長職に就き、一年の間に引継ぎを行なっていくようだ。

そして商品部から執行部へ異動し、それから身分を明かすと言っていた。

玲子も門脇部長の正体を知らない。私と彼の結婚を心から祝福されるたびに、罪悪感が募っていた。でもいくら親友といえど、さすがに今回ばかりはなんでも話せない。

それにきっと玲子なら、後ほど門脇部長の正体を公表した際、事情を説明すればわかってくれると思うから。

その後も門脇部長とのことでひやかされながら、久しぶりに楽しい時間を過ごした。



「あぁ、織田先輩! それも私が持ちますから!」

「えー、大丈夫だよこれくらい。そんなに重くないし」

「いいえ、私が持ちます!!」

先輩に対して失礼だと重々承知しつつも、無理やり彼女から荷物を奪い取った。
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