旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「いいえ、違います! もちろん結婚したら将来的には子供が欲しいと思っています」

幼い頃、お母さんとふたりでの生活だった。とても幸せだったけれど、やっぱりお父さんがいて、兄妹がいる友達を羨ましくもあったから。

だから将来、結婚したら子供は最低ふたり以上欲しいと思っていた。どんなかたちで結婚したとしても、その思いは変わらなかったけれど……。

門脇部長はどうなんだろう。いや、でもまだ結婚もしていないのに、子供のことを考えるなんて気が早すぎるよね。

視線は下がり考え込んでいると、織田先輩はそっと私の肩に触れた。

「これから共に生活をする中で、困ったことや悩みがあったら、なんでも門脇部長に話してみたらどうかな? 彼ならきっと、真剣に姫野さんの話を聞いてくれると思うわ」

「えっ……?」

顔を上げると、織田先輩は優しい眼差しを向けていた。

「だって門脇部長、いつも姫野さんのことを気にかけていたもの。……上司として私の後任に決まったあなたを心配していると思っていたけど、今思えば、上司としてだけではなかったと思う。……姫野さんを見る門脇部長の目は優しくて、愛情が感じられていたから」

嘘、本当に?
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