旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
コンコンとノックする音に息を吸い込む。
はい…と返事をする前からさっとドアが開き、隙間からフルーツの籠を持った皆藤さんが入ってきた。


「ただいま」


ニコニコしながら私の側に寄り、お見舞い…と言いながらベッド上にフルーツの籠を乗せる。

「何がいいのかいまいち分からなくて」と話す彼は、「水分も摂れるし、適当に選んでたらこんなになった」と笑って言った。


「しまった。買い過ぎか」


声を出して笑う彼につい涙ぐんでしまう。
それも自分の体調が今一つな所為だと気を取り直し、ありがとう…とお礼を言いながら籠をぎゅっと抱きしめた。


「いい匂い…」


リンゴとかメロンの香りがする。
色の綺麗なマンゴーもあるし、葉っぱが青々としたパイナップルまで買ってある。


「こんなに沢山あったら、なかなか食べきれないね」


籠から顔を上げると微笑む彼の顔が近付いてくる。
ビクッとする間もなく唇を吸われ、軽く甘噛みして離れていく__。


「ごめん。あんまり可愛いから」


そう言って照れるもんだから胸が鳴る。
籠を持つ手の指先が揺れて、胸はドキドキ弾けて、まるで身体中が震えてるみたい。


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