旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「脩也君って、奥さんのことメチャクチャ好きなくせに、それを本人に言えずに此処で散々愚痴ってたのよ」


もう聞いてらんないくらいに意気地が無いの!とゲラゲラ笑い始め、皆藤さんは流石に真っ赤になって怒り始めた。


「煩いっ!それは黙ってろって言っただろ!」


(たけし)!」と名前を呼ぶ声を聞き、へっ?…と私が耳を疑ったのは言うまでもない。


「やだぁ。やめてよ、その名前出すの」

「やめるか。これがお前の本名だろう!」


もう二人して茶番を通り越して本気で怒り合ってる。

そんなやり取りを聞いたままこっちは開いた口が塞がらず、目も瞬きを繰り返して、二人の言い合いが治るのを待っていた。



「……とにかく、少し落ち着きましょうよ」


一通りのやり取りが済んだのか、女性はそう言って自分用のグラスにお酒を注いだ。
皆藤さんもいい加減疲れた感じで、「ああ…」と了承し、互いにグラスの中身を飲み込んで息を吐く……。


「あの…」


これからどうすればいい…という感じで二人を見つめ、先ずは最初に確かめたいことを口にした。


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