旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
(皆藤さん…?)


後ろ姿を見つめてる私は、彼を呼び止めてしまいそうになる。
けれど我慢して、今の香りは何?と自分の鼻を疑った。


一瞬だけ鼻に付いた香りは甘ったるくて、彼がこんなコロンを身に付けてたことがあっただろうか…と記憶を探ってはみたが……


(ううん、こんな香り、初めて嗅いだ)


あれ?…と思いながら背中を見つめ、その夜初めて疑問を覚えた。

彼が自分を置いて、こんな時間まで何処で何をしてたのか、今の甘い香りは何?…と思いながら、自室のドアを離れず、暫く彼の部屋を眺め続けていた。


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