旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「はぁ…」


連休が明け、会社のデスクに着いた私は、大きな溜息を吐き出した。


「やぁねぇ」


耳聡(みみざと)くそれを聞いてたらしい桂さんは振り返り、新婚ボケ?と訊いてくる。


「違いますよ」


失礼な、と思いながら不貞腐(ふてくさ)れ、庭の草刈りで疲れてるだけです、と返事した。


「もう刈っても刈ってもキリがないくらいに雑草があって」


ブツブツ文句を言いながら筋肉痛で身体中が痛い…と嘆く私を見つめ、桂さんは不思議そうな顔でこう訊いた。


「草刈り?新婚旅行には行かなかったの?」


せっかくのお休みだったのに…と言われるが、こっちは式の準備だけで手一杯で、旅行の手配までは出来なかった。


「行きませんでしたよ。連休中ずっと皆藤さんは仕事でしたし、私は庭の大掃除で、朝から夕方まで動き詰めでしたから」


そんな暇があったら家でのんびりしてます、と言うと唖然とされ、一体何の為の新婚なの!?と驚かれた。


「ああ、でも、夜はそれなりに燃えたんでしょ?」


それで筋肉痛になったんだ…とニヤつきながら断定する相手に目を向け、内心「まさか」と返事をしたが。


< 41 / 225 >

この作品をシェア

pagetop