次期院長の強引なとろ甘求婚
鮮やかなピンク色の花を盛大につける、ランブラーローズのキング。
花は小輪だけど、花数が多く可愛らしい。
ゆっくりと進んでいくと、グラデーションするように淡いピンク色のイングリッシュローズが大輪の花を何個もつけていた。
「バラって、やっぱり管理するのが難しいものなの?」
じっくり花を見ている私の背後から、三角先生が問いかける。
振り向くと、私に続いて回廊のバラに目を向けていた。
「品種にもよりますが、バラは基本的にお世話が大変だと思います。こんな風に誘引して、素晴らしいアーチにしたりとなると……育て方によっては、花付きが変わりますし。バラは害虫も出やすいんです」
「へぇ~……花を育てるのって、想像はしてたけど、やっぱりかなり大変なんだね」
「ここは、庭師さんにお願いされているんですよね?」
「うん、そうらしい。じゃあ、相当お世話になってるってことだよな……」
そう言った三角先生は、苦笑いしながら「母親が自分で管理してたら、荒野になってるな」なんて言う。
「三角先生のお母様は、バラがお好きなんですね」
「ああ、うん、そうだね。バラもだけど、花が好きみたい。未久さんのところで作ってもらった花束、いつも『綺麗ね~』って喜んでるよ」
「え……もしかして、いつもお母様に買われていってたんですか?」
「いや、まさか。病院の受付にね、いつも飾ってるんだ」
いつも買いにきてくれていた花の行方を、今になってやっと知ることができる。
そうだったんだ、と思いながら、ふとあることを思い出した。