次期院長の強引なとろ甘求婚


「私、いつも疑問だったんです」

「疑問?」

「はい。三角先生がうちに花束買いに来て下さって、なんのためだろうって。その頃は、まだお医者様って知らなかったから、それこそ病院も近いし、お見舞いとかなのかなって」


 いつも花束を買って、どこに行くのだろうと勝手な妄想を繰り広げていたくらいだ。

 思えば三角先生が来店するようになってから、私の中で彼はずっと気になる存在だったことを自覚する。


「もしかしたら、入院されているのは彼女さんなのかな……? とか、あれこれ予想してたりして」


 思い出してみておかしくなって、ひとりへへっと笑ってしまう。

 すると突然、真横からそっと肩に腕が回され、横から顔を覗き込まれた。


「そんなこと、考えてくれてたりしたんだ?」


 長身の三角先生が背を屈めて、私に目線を合わせてくる。

 近距離で見つめ合うような状態を強いられ、鼓動が途端に早鐘を打ち始めた。

 この至近距離で見ても、整っていて美しい顔。

 肌も綺麗だから、メイクをしているのに私の方がこの近さで見られることが恥ずかしい。


「なんか、嬉しいな。未久さんに気に掛けてもらってたことが」


 ふわりと穏やかに微笑んで、三角先生の手は私から離れていく。

 またすぐに熱くなってしまった顔を隠すように、私は回廊の先へと視線を向けた。

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