次期院長の強引なとろ甘求婚
「でも、ほんとこのお庭にはすごい種類のバラがありますね。やっぱり、十分立派なバラ園ですよ」
「いずれは、全部未久さんのものになるんだよ」
「え……?」
一通りを堪能し、再び回廊の中で咲き乱れるバラを見上げていた時だった。
今、何て……?
聞き間違いとしか思えない三角先生の言葉を、確かめるようにゆっくり振り返る。
三角先生は端整な顔に微笑を浮かべて、じっと私を見つめていた。
距離を詰めて、そっと両手を取られる。
優しく掴まれた手に驚いて、落ち着いていた鼓動がまた大きく音を立て始めた。
「だって、結婚を前提にってことなら、そういうことになるから」
結婚を、前提に……。
三角先生の言葉を心の中でオウム返しして、ひとりでに顔が熱くなるのを感じる。
そんな私の様子を見てか、三角先生はふっと笑って掴んでいる私の手を自分へと引き寄せた。
「あっ……」
三角先生の突然の行動で、私の体は飛び込むようにして三角先生の胸に触れる。
私を引いた少し強引な手はそのまま背と腰に回り、三角先生は私を両手で抱き締めた。