神在(いず)る大陸の物語【月闇の戦記】<邂逅の書>
その背後には、未だ白い煙をあげてくすぶる女妖の骸が転がっていた。
「ジェ、ジェ、ジェスター様!」
呆然とその姿を眺めていたウィルタールが、思わず彼の名前を呼ぶ。
そんな彼にちらりと緑玉の瞳をやると、ジェスターは、何も言わずに、やはり呆然と彼を見つめるリタ・メタリカの美しき姫君へその燃えるような緑の視線を向けたのだった。
そして、彼女を取り囲んでいる疾風の壁に向かってゆっくりと片手を伸ばすと、一瞬にして風の結界が弾け飛ぶ。
差し伸ばされたジェスターの手が、未だ状況を把握していないリーヤの腕を強引に掴んだ。
「あ、貴方は・・・・何者です!?あの魔物と同じ・・・顔・・・っ?」
気強いリーヤの紺碧色の瞳が、一国の姫君たる自分の腕を無粋にも掴んだ、魔王と同じ容姿を持つその青年の端正で凛々しい顔を真っ向から睨み据えたのだった。
「噂以上のはねっ返りだな?リタ・メタリカの姫様は・・・・?お前が【鍵】だなんてな・・・・」
彼は、どこか可笑しそうに唇だけで微笑すると、見事な栗毛の前髪から覗く美しい緑玉の眼差しで、真っ直ぐに彼女の秀麗な顔を見た。
「異形(いぎょう)の瞳・・・・・・・!?」
リーヤは、その青年の視線を細めた瞳で睨んだまま、思わず、そう呟く。
その眼差しに囚われた者は、運命すら変えられてしまうという、燃え盛る炎のような美しい緑色の瞳。
緑の瞳は異形なり、それ愛でるは数奇なり・・・
そんな古の言い伝えがリーヤの脳裏を掠めた時、彼の腕が突然彼女を引き寄せて、そのまま、背後にいるウィルタールにそのなだらかな肢体を勢いよく放ったのである。
「きゃっ!!」
「あ!姫!!」
平衡を崩した彼女の体を、慌ててウィルタールが抱き止めた。
「邪魔だよ、さっさとここを出ろ、まだ【鍵】の時は満ちない」
一国の姫君に向かって言うようなことではないその無粋な言葉に、ウィルタールの腕に抱きとめられたまま、リーヤの綺麗な眉がつり上がった。
「なぁ!?」
しかし、リーヤが口を開きかけた時、彼女の眼前にいたはずの無礼な魔法剣士の姿は既にない。
「ジェ、ジェ、ジェスター様!」
呆然とその姿を眺めていたウィルタールが、思わず彼の名前を呼ぶ。
そんな彼にちらりと緑玉の瞳をやると、ジェスターは、何も言わずに、やはり呆然と彼を見つめるリタ・メタリカの美しき姫君へその燃えるような緑の視線を向けたのだった。
そして、彼女を取り囲んでいる疾風の壁に向かってゆっくりと片手を伸ばすと、一瞬にして風の結界が弾け飛ぶ。
差し伸ばされたジェスターの手が、未だ状況を把握していないリーヤの腕を強引に掴んだ。
「あ、貴方は・・・・何者です!?あの魔物と同じ・・・顔・・・っ?」
気強いリーヤの紺碧色の瞳が、一国の姫君たる自分の腕を無粋にも掴んだ、魔王と同じ容姿を持つその青年の端正で凛々しい顔を真っ向から睨み据えたのだった。
「噂以上のはねっ返りだな?リタ・メタリカの姫様は・・・・?お前が【鍵】だなんてな・・・・」
彼は、どこか可笑しそうに唇だけで微笑すると、見事な栗毛の前髪から覗く美しい緑玉の眼差しで、真っ直ぐに彼女の秀麗な顔を見た。
「異形(いぎょう)の瞳・・・・・・・!?」
リーヤは、その青年の視線を細めた瞳で睨んだまま、思わず、そう呟く。
その眼差しに囚われた者は、運命すら変えられてしまうという、燃え盛る炎のような美しい緑色の瞳。
緑の瞳は異形なり、それ愛でるは数奇なり・・・
そんな古の言い伝えがリーヤの脳裏を掠めた時、彼の腕が突然彼女を引き寄せて、そのまま、背後にいるウィルタールにそのなだらかな肢体を勢いよく放ったのである。
「きゃっ!!」
「あ!姫!!」
平衡を崩した彼女の体を、慌ててウィルタールが抱き止めた。
「邪魔だよ、さっさとここを出ろ、まだ【鍵】の時は満ちない」
一国の姫君に向かって言うようなことではないその無粋な言葉に、ウィルタールの腕に抱きとめられたまま、リーヤの綺麗な眉がつり上がった。
「なぁ!?」
しかし、リーヤが口を開きかけた時、彼女の眼前にいたはずの無礼な魔法剣士の姿は既にない。