神在(いず)る大陸の物語【月闇の戦記】<邂逅の書>
「頭に血がのぼってるあいつを引き止めるなんて、命が幾つあっても足りないぜ?ウィルタール?お前はあいつの本性を知らないだけだ。俺なんか、昔、何度殺されかけたか」
「そ、そ、そうじゃなくて!何故あの冷静で知的で王家に忠実なスターレット様が・・・!?殿下を貴方に任せていくなど!考えられません!!」
青臭いウィルタールのその言葉に、ジェスターは殊更愉快そうに一笑した。
「お前、相変わらずガキだな?」
「なんですかそれは!?答えになってませんよ!!」
「それだけ惹かれてたんだろ?あのアストラに?あいつ、変に潔癖で生真面目だから、そんなことは絶対に顔には出さない」
「・・・・・・!?」
実に愉快そうに言ったジェスターの言葉に、それが嘘か本当かも判断しかねたまま、ウィルタールが、何か言おうと口をぱくぱくした・・・
しかし、よくよく考えてみれば、確かに・・・
魔物の来襲がある前、あの回廊での・・・・
ウィルタールが、思わず顔を上気させた時、不意に、その腕の中にいるリタ・メタリカの姫の長い睫毛が揺れたのだった。
ハッと我に返ったウィルタールの青い瞳が、慌てて美しき姫君の顔を覗きこむ。
「殿下・・・リーヤ姫!気付かれましたか?!」
綺麗な瞼がゆっくりと開き、その紺碧色の瞳が真っ直ぐに彼の顔を見る。
「ウィルト・・・?此処は・・・・?」
そこまで言って、リタ・メタリカの秀麗な姫君は、勢いよくその上半身を起こしたのだった。
「スターレットは!?あの魔物はどうしたのです!?」
綺麗な顔を厳(いかめ)しく歪めて、長く艶やかな紺碧色の髪が頬に掛かることも気にせずに、彼女は、慌てて周囲を見回した。
「スターレットなら、手負いのゼラキエルを追ったぜ、リタ・メタリカのじゃじゃ馬殿下?お前、あのエストラルダの女剣士に感謝しろよ、ゼラキエルがおとなしく引き下がったのは、あの女のお陰だ」
またしても無礼な言葉でそれに答えたのは、他でもない、魔王と呼ばれる者と同じ容姿を持つ魔法剣士ジェスターであった。
「そ、そ、そうじゃなくて!何故あの冷静で知的で王家に忠実なスターレット様が・・・!?殿下を貴方に任せていくなど!考えられません!!」
青臭いウィルタールのその言葉に、ジェスターは殊更愉快そうに一笑した。
「お前、相変わらずガキだな?」
「なんですかそれは!?答えになってませんよ!!」
「それだけ惹かれてたんだろ?あのアストラに?あいつ、変に潔癖で生真面目だから、そんなことは絶対に顔には出さない」
「・・・・・・!?」
実に愉快そうに言ったジェスターの言葉に、それが嘘か本当かも判断しかねたまま、ウィルタールが、何か言おうと口をぱくぱくした・・・
しかし、よくよく考えてみれば、確かに・・・
魔物の来襲がある前、あの回廊での・・・・
ウィルタールが、思わず顔を上気させた時、不意に、その腕の中にいるリタ・メタリカの姫の長い睫毛が揺れたのだった。
ハッと我に返ったウィルタールの青い瞳が、慌てて美しき姫君の顔を覗きこむ。
「殿下・・・リーヤ姫!気付かれましたか?!」
綺麗な瞼がゆっくりと開き、その紺碧色の瞳が真っ直ぐに彼の顔を見る。
「ウィルト・・・?此処は・・・・?」
そこまで言って、リタ・メタリカの秀麗な姫君は、勢いよくその上半身を起こしたのだった。
「スターレットは!?あの魔物はどうしたのです!?」
綺麗な顔を厳(いかめ)しく歪めて、長く艶やかな紺碧色の髪が頬に掛かることも気にせずに、彼女は、慌てて周囲を見回した。
「スターレットなら、手負いのゼラキエルを追ったぜ、リタ・メタリカのじゃじゃ馬殿下?お前、あのエストラルダの女剣士に感謝しろよ、ゼラキエルがおとなしく引き下がったのは、あの女のお陰だ」
またしても無礼な言葉でそれに答えたのは、他でもない、魔王と呼ばれる者と同じ容姿を持つ魔法剣士ジェスターであった。