全てを愛して


あの出会いから2ヶ月、毎日連絡を取り合った。

心愛ちゃんの事を考えると、胸がドキドキ高鳴って、胸がキュンキュンしてしまう。

35歳にして、初恋を経験しているようだ。

彼女以外考えられなくて、当たり前のように今までの女を切り捨てた。

確かに、性的欲求はあるのだが、彼女のことを考えるだけでそんなものは消えてなくなっていた。

決して不能になったのではない。

そんな今日は、初めて飯以外で誘ってみた。

我が家で・・・

映画鑑賞します。

全く、本当に全く下心はない。

ただ単に、会いたくて仕方なかったのと、外では簡単に会えないから我が家にしてみた。

約束の時間が近付いてきた。

部屋の掃除はありえないくらいちゃんとやった!!

不潔とか思われたくないし・・・

少しだけ会社で事務仕事をしてから行くと言っていたから、約束が午後になっちゃったけど、そんなの気にしない。

ピーンポーン

きた!!

カメラには、エントランスで立っている心愛ちゃんを写している。

今日は会社帰りだから、いつもよりシンプルな服装だ。

でも似合ってる。

猛「はい、今開けるね。」

「はい。」

5分ほどして、玄関までやってきた。

「お邪魔します。」

猛「いらっしゃい。」

「さすが一流の芸能人ですねー・・・こんな高層マンション入ったの初めてですよ。」

猛「ありがと。セキュリティーがしっかりしてないといけないからねー。こんな感じのところになっちゃうんだよ。」

「うわー・・・高い・・・」

ベランダに近寄り、外を眺めている。

猛「寒かっただろ??もうすぐ春だってのに、全然暖かくならないね。」

「そうですねー・・・あっ、そうだこれお土産です。甘いもの好きでしたよね??ケーキなんですけど。」

猛「うわー!!ここのケーキうまいんだよね。ありがと!!」

「ここのケーキがお気に入りだって聞いてたので、喜んでもらえて良かった。」

猛「おやつにはまだ早いし、後から食べようか。お昼食べた??」

「あぁー・・・はい、食べました。」

猛「何を??」

「・・・」

そっと視線を反らした彼女に溜め息をついた。

猛「10秒チャージはごはんじゃないよ??」

彼女は、一人で食事ができないのもあるのだが、食事というものに重きをおいておらず、疎かにしがちなのだ。

いつか倒れてしまわないといいんだけど・・・

猛「そうだ、上着もらうね。」

「すいません。手を洗いたいんですけど・・・」

猛「あぁ、そこの台所でどうぞ。ハンドソープもあるから使ってね??」

「ありがとうございます。」

彼女が台所に行くので着いていき、手を洗うのを眺めていたら

猛「あれ??」

今腕まくりした時に何か見えたような・・・

「どうかしました??」

猛「ちょっとごめんね??」

腕をまくってみると、

猛「病院行ったの??」

血液検査でもしたのか、腕のところに、注射をした後にはるテープがついていた。

「あぁー・・そうなんですよ。定期検診みたいな感じで、日頃からやってるんです。」

猛「へぇー、しっかりしてるね。」

俺も定期的に病院には行ってるけど、心愛ちゃんみたいな若い子もちゃんとやってるんだな。

おじさん少し感心しちゃうよ。

「・・・あれ・・・猛さんって煙草吸われるんですか??」

猛「うん、知らなかった??」

「知りませんでした。いつも吸われてるところなんて見たことありませんでしたから。」

猛「女の子って煙草の臭い嫌いでしょ??」

「そんなことありませんよ。気にしないでも大丈夫ですから。」

そうか・・・
彼女は気にしないんだ。

「前も・・・最初に焼き肉に行く時も臭いを気にしてましたよね??何でそんなに臭いが気になるんですか??」

猛「えっ・・・それは・・・」

俺が出逢ってきた女は、自分だって香水臭いのに、他の臭いがつくのを極端に嫌がる奴ばかりだった。

でも他の女の話はできればしたくない・・・

「あぁー・・・聞いちゃまずかったですかね。すいません。」

猛「いや、そんなことないよ。」

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