全てを愛して
②
あの出会いから2ヶ月、毎日連絡を取り合った。
心愛ちゃんの事を考えると、胸がドキドキ高鳴って、胸がキュンキュンしてしまう。
35歳にして、初恋を経験しているようだ。
彼女以外考えられなくて、当たり前のように今までの女を切り捨てた。
確かに、性的欲求はあるのだが、彼女のことを考えるだけでそんなものは消えてなくなっていた。
決して不能になったのではない。
そんな今日は、初めて飯以外で誘ってみた。
我が家で・・・
映画鑑賞します。
全く、本当に全く下心はない。
ただ単に、会いたくて仕方なかったのと、外では簡単に会えないから我が家にしてみた。
約束の時間が近付いてきた。
部屋の掃除はありえないくらいちゃんとやった!!
不潔とか思われたくないし・・・
少しだけ会社で事務仕事をしてから行くと言っていたから、約束が午後になっちゃったけど、そんなの気にしない。
ピーンポーン
きた!!
カメラには、エントランスで立っている心愛ちゃんを写している。
今日は会社帰りだから、いつもよりシンプルな服装だ。
でも似合ってる。
猛「はい、今開けるね。」
「はい。」
5分ほどして、玄関までやってきた。
「お邪魔します。」
猛「いらっしゃい。」
「さすが一流の芸能人ですねー・・・こんな高層マンション入ったの初めてですよ。」
猛「ありがと。セキュリティーがしっかりしてないといけないからねー。こんな感じのところになっちゃうんだよ。」
「うわー・・・高い・・・」
ベランダに近寄り、外を眺めている。
猛「寒かっただろ??もうすぐ春だってのに、全然暖かくならないね。」
「そうですねー・・・あっ、そうだこれお土産です。甘いもの好きでしたよね??ケーキなんですけど。」
猛「うわー!!ここのケーキうまいんだよね。ありがと!!」
「ここのケーキがお気に入りだって聞いてたので、喜んでもらえて良かった。」
猛「おやつにはまだ早いし、後から食べようか。お昼食べた??」
「あぁー・・・はい、食べました。」
猛「何を??」
「・・・」
そっと視線を反らした彼女に溜め息をついた。
猛「10秒チャージはごはんじゃないよ??」
彼女は、一人で食事ができないのもあるのだが、食事というものに重きをおいておらず、疎かにしがちなのだ。
いつか倒れてしまわないといいんだけど・・・
猛「そうだ、上着もらうね。」
「すいません。手を洗いたいんですけど・・・」
猛「あぁ、そこの台所でどうぞ。ハンドソープもあるから使ってね??」
「ありがとうございます。」
彼女が台所に行くので着いていき、手を洗うのを眺めていたら
猛「あれ??」
今腕まくりした時に何か見えたような・・・
「どうかしました??」
猛「ちょっとごめんね??」
腕をまくってみると、
猛「病院行ったの??」
血液検査でもしたのか、腕のところに、注射をした後にはるテープがついていた。
「あぁー・・そうなんですよ。定期検診みたいな感じで、日頃からやってるんです。」
猛「へぇー、しっかりしてるね。」
俺も定期的に病院には行ってるけど、心愛ちゃんみたいな若い子もちゃんとやってるんだな。
おじさん少し感心しちゃうよ。
「・・・あれ・・・猛さんって煙草吸われるんですか??」
猛「うん、知らなかった??」
「知りませんでした。いつも吸われてるところなんて見たことありませんでしたから。」
猛「女の子って煙草の臭い嫌いでしょ??」
「そんなことありませんよ。気にしないでも大丈夫ですから。」
そうか・・・
彼女は気にしないんだ。
「前も・・・最初に焼き肉に行く時も臭いを気にしてましたよね??何でそんなに臭いが気になるんですか??」
猛「えっ・・・それは・・・」
俺が出逢ってきた女は、自分だって香水臭いのに、他の臭いがつくのを極端に嫌がる奴ばかりだった。
でも他の女の話はできればしたくない・・・
「あぁー・・・聞いちゃまずかったですかね。すいません。」
猛「いや、そんなことないよ。」