全てを愛して
「私も煙草吸いますから、本当気にしないで下さいね??」
猛「えっ、心愛ちゃんって喫煙者なの??」
「主に仕事の時だけですけどね。プライベートでは自分の部屋でしか吸いません。」
猛「どうして??」
「仕事はストレスが凄いので、それもあってなんですけど、プライベートではそんなイライラすることもないですし・・・仕事を持ち帰るときだけ、気付いたら吸ってますね。」
猛「そんなストレス溜まるんだ・・・よっぽど上司の人がが怖いのかな。」
「上司??」
猛「うん、そんなストレス溜まるぐらい仕事押し付けられてるの??それともセクハラにあってるとか!?」
こんな可愛いんだからありえる・・・
そんなくそ会社だったら即刻辞めさせなきゃ・・・
「言ってませんでしたかね・・・上司は私です。」
猛「・・??」
「あぁすいません、簡単すぎましたね。私、主任なんですよ。確かに上司はいますけど、部署の中では私が一番上なんです。」
猛「その若さで!?」
「異例だったんですけど、何故だか後任に選ばれちゃって。以前主任だった人は、副社長になっちゃったんですよ。」
心愛ちゃんはエリートさんだったのか・・・
猛「なるほど・・・それで昼夜問わず仕事に追われてるんだ・・」
昼に電話しても、夜に電話しても、だいたい
"今現場にいて・・・"
"出張で九州です"
"少しトラブルがあってお詫びに行ってて・・・"
猛「なんか納得しちゃった。忙しさ半端ないもんね。」
「そうですね・・・春はコンサートが増えますから。その打ち合わせとかであっちこっち行ったり来たりで、来月には新入社員も入りますから・・・そうするともっと時間が取れません。」
猛「来月は会えなさそう??」
「どうですかね・・・わかりませんけど、電話はちゃんと出来ますから。」
こんなに忙しくても、毎日俺の相手をしてくれて・・・
少し期待しちゃうよ??
ピリリリリ
猛「鳴ってるよ??」
「・・・鳴ってますね・・・げっ・・・」
物凄く嫌そうな顔をしている
猛「出ないの??」
「出ません。仕事の電話なら出ますけど・・プライベートなので。」
猛「え、気にしないで良いんだよ??」
「今は桜木さんとの時間ですから。」
猛「・・ありがと・・・」
10分
30分
1時間
猛「ねぇ、本当出た方が良いよ??」
途中バイブに変えたが、ずーっと鳴り続けている。
もうここまでくると、恐怖だ。
「・・・ハァー・・・でもこの電話出ると、私帰らなきゃいけなくなるかもしれないんです。」
猛「どうして??」
「いやー・・ははは・・・」
それでも鳴り続けているには、理由があるはずだし・・・
猛「出なよ、相手の人、凄い用事なんだよ。」
「・・・桜木さん・・・・・わかりました・・・・・もしも・・」
[バカヤローーーーーー!!!!!!!]
猛「!!!!!」
電話越しでも聞こえるくらい大声だ。
しかも男。
[おまっ!!!!どんだけ探してると思ってんだ!!!!]
探してる??
[俺と瞬が!!!!どんだけ心配したと思ってんだ!!!このばか!!!]
「ちょっ・・・凌ちゃん声大きい・・・」
[病院抜け出すなんていい根性だ!!!覚えとけよこのやろう!!!]
病院??
抜け出した??
え??
[どこにいんだ!!]
「会社で書類整理して・・それから」
[会社だー!?!?そんな体で何仕事してんだばか!!!バーか!!!]
「バカバカうるさーい!!もう!!凌ちゃんのばーーーーか!!!」
ブチッ
「・・・・・すっ・・・すいません・・・」
少し子供っぽいと感じたのだろう。
恥ずかしそうにしている。
そんなことより、聞き捨てならない言葉があった。
猛「病院抜け出したってどういうこと??」
「・・・」
猛「・・・検査したのはわかるけど・・・さっき見たし・・・え??でも抜け出したって・・・・・・入院してた??」
「・・・」
目をそらしている。
当たりか・・・
猛「ちょっと待って・・・」
おでこを触ってみる。
平熱のようだ。
怪我もしてる様子はない。
昨日は・・・確かに珍しく連絡が取れなかった。
一昨日の夕方電話をして、それから俺は歌番組の収録が遅くまであったからそれ以降は連絡してない。