全てを愛して

あの映画鑑賞から1ヶ月。

彼女はいつも通り、本当に忙しい生活を送っていた。

でも時間があれば昼でも夜でも一緒に食事をした。

出会いから3ヶ月で、いろいろわかったことがあった。

彼女は、あの若さで役職につき、部下がたくさんいるらしい。

それと仕事の時だけ、喫煙をしてるらしい。

意外だったんだけど、ストレスが半端ないからどうにもならないんだって。

女性が吸ってても偏見はないけど、1つだけ気になるとしたら、喘息があるのに吸ってるらしい。

体の為にやめなさいと言ったけど、どうも彼女は自分のことを疎かにする傾向があるらしく、言うことを聞かない。

食事も最低限、睡眠も下手をしたら3徹とかしちゃう。

本当放っておけない。


でも、付き合ってない。


え??

告白ならしましたよ。

でも、保留なんです。

何でって・・・前付き合ってた奴とどうしても果たさなきゃいけない約束があって、それが済むまでこのままでいたいって。

気持ちは一緒らしいけど。

あ??

こっちが知りたい、何の約束なのか。

敗北感半端ないわ。

しかもその元彼、俺と同じで歌手なんだって。

名前は聞かなかった。

あと、詳しくはわからないけど、親戚とはあまりうまくいっていないようだった。

頼れる人がいないみたいだし、心配だから毎日電話とLINEをしている。

え??
ストーカーみたいだって??

そんなんじゃないから。

同じ気持ちだって言ってんだろ。

彼女はちゃんと毎回出てくれるんだよ。

仕事中とかだと、ちょうどいいから休憩しますって言って話してくれるし・・・



俊「・・なるほどなー。お前それただ単に振りにくくて保留にされてるだけなんじゃねーのかよ。」

幸「ほんとそうだよな・・・そいやさ、写メないの??顔見たことないし。」

猛「駄目。」

幸「何で??」

猛「可愛いから。お前らでも、譲れないから駄目。どうでもいい女ならいくらでもやるし、好きにしたら良いけど、彼女だけは絶対駄目だから・・・。」

グループが解散するのは、だいたい金か女って相場が決まっている。

そんなくだらないことで大事な奴らと決別なんてごめんだ。

俊「お前本当馬鹿だな。」

猛「あぁ!?」

幸「だよねー・・・」

猛「ちょっと幸ちゃんまで・・・」

俊「お前が・・・本気なんだってくらい俺らわかってるよ。」

猛「え??」

俊「あんな女好きで、毎晩違う女抱いてたやつが、心愛ちゃんだっけ??その子に出逢ってから女遊びもやめて、会えるかもわからないのに時間作って・・・喜んだり悲しんだり忙しくしてんのによ。」

幸「そうそう、そんな親友の大事な子を、横から奪ってくわけねーだろーが。むしろ頑張れって応援してるし、少しもどかしいくらいだよ。ただ、どんな子かなって気になっただけだよ。」

猛「俊樹・・・幸ちゃん・・・」

俊「あとお前が心配なだけ。お前女運悪いからな。」

幸「ほんと・・・妊娠したって嘘つかれて結婚しちゃうんだもんな。」

猛「やめろよ。まじであれは人生の汚点だから。」

ギャーギャー騒いでいるとノックが聞こえた。
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